コンプレックス 負の連鎖

手術で女として普通の胸を手に入れた私は
整形手術を受けた人の例にもれず
胸だけで納ままらなかった。

だいたい1ヶ所整形した人は
次から次といろんなパーツが気になり
あっちもこっちも整形手術が
止められなくなるそうだ。

はじめの1ヶ所を手術すると
生まれたまんまの体を大事にしなければ
ならないという縛りみたいなものが
外れてしまう。

鼻を高くしたら小さい目が気になり
目を直したら、たるんだ顎のラインが目立つ。

顔がひと通り済んだら体へ。

全身脱毛するとあそこの黒さが気になる。

それまでは見えなかった部分が見えて
目につくようになる。

そうしてまた整形手術を繰り返す。

 

 
整形することで前向きに
人生が良い方に回り出す人もいれば
私が思うには
悪い方へと落ちていく人の方が多い
ような気がする。

まずもっとも大きな原因は
手術には莫大な費用がかかることだ。

いくらお金があっても足りない。

それでも止められなくて借金をしちゃう人が多い。

高須クリニックの社長が
ドバイでヘリに乗ってるCMを見ると
その後ろに何人もの泣いてる女性が見える。

何かがおかしい。

 

 

お金以上に悪いのが、メンタルだ。

せっかく手術をしてコンプレックスを取り除き
良い人生を送ろうとしてるのに
今度は整形手術をしたことが
コンプレックスとなる。

誰も整形だとは言ってないのに
常に周りの人みんなが私の胸は偽物だ
私の鼻は整形だと言われてるような
被害妄想に憑りつかれる。

韓国やタイなら整形するのはもっと身近で
当たり前のことなのだというなぐさめも
言い訳でしかなくなる。

借金がふくらむ不安の中で
この被害妄想、コンプレックスは
どんどん肥大化していく。

負のスパイラルへ突入だ。

 

 

 
手術した後は人間関係にも影響が出る。

整形が許せないのか
私の被害妄想に愛想が尽きるのか
中の良かった友人たちは
徐々に離れていってしまった。

恋愛にも臆病になる。

いつかは整形したことを
話さなければならないと思うと
このままこの恋にのめり込んでいって
いいものかとブレーキがかかる。

キレイになれば男性にもモテて
きっと素晴らしい恋が待っているという
思いで手術したはずなのに。
こうして人間関係はどんどん希薄になっていく。

 

 
そして体の感覚もおかしくなる。
手術をした後は、乳首を触られてもあまり感じない。

しょせん偽物のおっぱいなのだ。

神経が切れて感覚が鈍くなるのだろうか。

無理やりシリコンを入れて皮膚が突っ張っているからか
胸を触られても痛いだけだ。
目や鼻もどこか自分のものではないような
違和感というか無機質なというか。

なので触られたり、キスされたりしても
なんとも感じない。

昔は少し触れられただけでビクッとしてたのに
敏感さがなくなった。

整形をして若くなった体の維持はもっと大変だ。

手術して若くした部分と元々の私の部分。

そのギャップを埋めないといけなくなる。

目やあごのラインはスッキリしてるのに
肌がくたびれているとバランスが取れない。

私の少ない交友関係のなかで評判の良い
辺見えみり 美容液 を使っている。

値段も手ごろなので借金で火の車の私には
助かっている。

 

 

 

 

 

女性として生まれたからには

私の悩みは貧乳であること。

 

間違って女性に生まれてしまったのか?

と疑わしいくらいに

胸の膨らみがほぼない。

 

これではブラジャーが

ブラジャー本来の役目を

全力で出し切れずかわいそうだ。

 

働いていたスナックでは

酔っぱらったお客さんが

冗談交じりで毎日のように

ネタにしてきた。

 

あ~男の人って酔っぱらっていても

そういうところはしっかり見てるのね

とある意味で勉強になり、

まともに相手にしていたら

身が持たないので

開き直って対応していた。

 

そして、

あまりの言われように

豊胸手術に関する情報を

ネットで調べるようになった。

 

本格的な手術だけじゃなく、

ヒアルロン酸注入で

一時的な効果(半年から1年)が

得られる方法もあることを知った。

 

しかしながら後者(ヒアルロン酸注入)

であっても費用は数十万円。

豊胸手術よりは安いが、

効果の期間を考えれば

安いとは言えない。

 

しかも個人差があるという

なんとも都合のいい

お決まりのワードが書かれている。

 

あまりにもリスクが大きすぎる。

 

悩みぬいた末に

私はシリコンバッグを入れるという

本格的な手術をすることに決めた。

よくTVなんかでは偽物!と

いじり倒している場面が見られるが、

この手術はそんな簡単なものではない。

簡単におっぱいが作れる

と思ったら大間違いだし、

リスクも高い。

術後には面倒すぎる

作業も待っている。

だから相当な覚悟と

気合い(とお金)がいるのだ。

 

ちなみに手術当日は

まったく身動きが取れないほどに

体が言うことをきかなくなり、

死ぬほど辛いかもしれない・・・

と初めて思った。

 

翌日からは

胸のマッサージ生活が始まった。

これがその面倒すぎる

という作業だ。

人間には自然治癒力がある。

シリコンバッグを入れるために

できた空洞を元に戻そうと働き、

放置すれば胸が固まってしまう

というから恐ろしいΣ(゚Д゚)

そうならないためにも

バッグを思い切り縦横斜めに

力いっぱい動かす作業を

最低1日5回やるよう指示された。

傍から見ればなんと滑稽な

(誰も見ていないからいいのだけど)

これを人知れず数か月続けた。

長かった・・・。

 

あれから時が経ち

今では体に違和感もなく、

洋服も楽しめるようになった。

手術によって

“普通の人“が知っている

女性としての幸せを初めて知り、

手に入れることができた。